モバイル・メソッド 2(2016, SFC「モバイル・メソッド」プロジェクト)

昨年に引き続き、所属する慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の「モバイル・メソッド」プロジェクトの冊子が発行された。掲載されている論考は以下の3編。

・「ともに生きる」ことを目指した映像実践(大橋香奈)
・ストリートを読み変える(松浦李恵)
・新宿ゴールデン街の「つながり」(大川将)

私の論考、『「ともに生きる」ことを目指した映像実践』について少し紹介する。

「もし私たちが、どうしてもともに生きることができないのだとしたら、どのような持続可能な発展も望めない」

これは、写真家でありジャーナリストであり環境系NPOのリーダーであるArthus-Bertrandのことばだ。彼は約5年間かけて75カ国で5000人を対象にインタビューとポートレート撮影を実施し、その成果を『6 billion others』という書籍にまとめた。ページをめくると、世界各地の、有名人ではない「ふつう」の人びとのポートレートと、その人の物語が並んでいる。本書はタイトル通り、同じ地球上で生活している「60億人の他者」について考えるきっかけを与えてくれる。性別、人種、国籍、宗教といったカテゴリーのもとでは「差異」が強調されるが、個人のレベルまで分解して、具体的な姿、物語を見ていくと、差異を乗り越えるための共感の入り口が見えてくる。人びとが互いを知ることが、「ともに生きる」ための第一歩になりうることを、本書は予感させる。

私の論考では、Arthus-Bertrandのように、人びとの具体的な姿や、考え方を知ることが、より良い環境をデザインし「ともに生きる」ための第一歩になるのではないかという認識のもと実践してきた、映像を用いたふたつのアプローチを紹介している。

この冊子は、11月18日19日に開催された慶應義塾大学 SFC OPEN RESEARCH FORUMの会場で配布した。会場に行けなかった方は、直接依頼いただければお渡しすることも可能だ(数に限りはあるが)。編集し発行してくださった師匠に感謝。