パフォーマンス研究のキーワード(2011, 高橋雄一郎・鈴木健編著)

「パフォーマンス研究」とは何か。本書では、演劇、コミュニケーション、教育、文化人類学、博物館学などのさまざまな研究分野のキーワードを参照しながら、その可能性と意義を議論している。

昨日の大学院の授業で、人びとにある行動をさせるために、すでに人びとが馴染んでいる何かのルールや記号を転用することについて議論した。例として、人はゴールテープが目の前にあると、思わず手を上げて走りだすという話が出た。この話を深めるのに、本書で紹介されているゴフマンの提唱した概念「フレーム(frame)」が役に立つ。

私たちは、過去の社会生活や世間一般の人びととの相互作用を通じて、生涯に渡り多くのフレームを身に付ける。ひとりで全速力で走っていると「変」に見えるのに、陸上競技という「フレーム」の中では、全速力で走る姿は他人をも熱狂させる「スポーツ」として認識される。「フレーム」とは、私たちが日々の経験から意味を成立させる(make sense)ために依存するモデルのことだ。私たちが日常生活の中で、どのような「フレーム」を共有しているのかを理解すれば、人びとを新たな行動へと誘うために「フレーム」を再構成することも可能になる。