ペット・アーキテクチャーガイドブック(2001, 東京工業大学建築学科塚本研究室・アトリエ・ワン)

本書は、建物と建物の隙間、拡幅した道路脇、線路と道路の間などに見られる小さな建物を「ペット・アーキテクチャー」と呼び、東京のまちで採集してまとめたガイドブックだ。まともな敷地にまともに建っている建物ではなく、変な敷地に一生懸命建っている小さな建物は、都市空間における「ペット」のような存在だという発想から、「ペット・アーキテクチャー」というコンセプトが生まれたそうだ。

ガイドブックを見ていると、窮屈で不便そうな空間に佇む「ペット・アーキテクチャー」が、独特の個性や魅力を持つものとして見えてくる。周囲の環境と相互作用しながら、作った人、使っている人が創意工夫してきたプロセスが滲み出ている。

ふだん見聞きしていることに、愛を持って名前を与えること。名前を与えることで、対象をよく見て、知ることができるようになる。それまで見ているようで、見ていなかったことが、見えてくる。本書を通じて、ことばの力を感じた。