サムサッカー(2005, マイク・ミルズ監督)

こういう映画が大好きだ。昨日のレビューの中で、

完璧な人生は映画にしかない

ということばを紹介した。たしかに映画は「完璧な人生」を描くことができるかもしれないが、本作を観ていると「不完全な人生」の中の葛藤や喜びを繊細に描けることもまた映画の魅力だと思う。

本作では、親指を吸う癖がある17歳の少年が、不安や悩みを抱えながら、彼をとりまく家族や学校の人びととの関わりの中で変化していく様子が映し出される。日常生活の中で私たちが経験する複雑な感情をビビッドにとらえている。

本作のマイク・ミルズ監督は、私が敬愛するアーティストのミランダ・ジュライのパートナーだ。ふたりに共通しているのは、個別具体的な人間の物語に対する丁寧な観察とリスペクト、愛にもとづいて創作活動をしていることだと思う。