おくりびと(2008, 滝田洋二郎監督)

観た後、何年経っても忘れられない映画のひとつだ。チェロ奏者としてのキャリアを断念し、実家のある山形で故人を送り出す「納棺師」として働くことになった男・大悟の物語。本作を観るまで、「納棺師」という仕事についてほとんど何も知らなかったし、故人を送り出す一連の儀式の意味について考えたこともなかった。昨年からふたりも大切な人を亡くしたが、ふたりとも外国で生活していた人だったので、「別れ」の儀式に立ち会うことができなかった。それがずっと心残りになっている。身体的に居合わせること(共在)なしにさまざまなことを実現できる世界になったが、それでは「ちゃんと別れる」ことができないのだと感じた。本作をあらためて観て、「ちゃんと別れる」ことの意味を考えたい。