ムーンライト(2016, バリー・ジェンキンス監督)

ようやく観に行くことができた。予定が少しずれ込んだため上映時間に間に合わず、オープニングの10分を逃すという失敗をしたが、それでも劇場で観られて良かった。

本作は、マイアミの犯罪が多発する地域で生まれ、麻薬中毒の母の元で育つ黒人の少年シャロンが、過酷な環境を生き抜いていくプロセスを描いている。学校では壮絶ないじめにあい、家庭にも安心できる居場所がないシャロンの孤独な姿に、胸が押しつぶされそうになる。幼馴染のケヴィンは、喜びや楽しみのないシャロンの暮らしの中で、彼の心を動かす唯一とも言える存在だ。シャロンがケヴィンの前で言ったことばが、頭から離れない。

泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ。

本作は、ケヴィンを想い続けるシャロンの、複雑で、繊細で、一途な(そして実はシンプルな)愛の物語でもある。男性同士の暴力的なシーンや、性的なシーンなど、映像で表現するのはいろんな意味で大変だっただろうと思われる場面もたくさんあるのだが、全体としてとてつもなく美しくて切ない映画に仕上がっていると思う。もう一度観たい。忘れられない作品になりそうだ。