The Home of a Modern Man(2017, GINGRICHにて開催)

先日フィンランドを訪れた際に、時間切れで行きそびれてしまった「アルカディア・インターナショナル書店」の店主イアン・ブルジョーが、都内で絵画展を開いていると聞いて、一緒にフィンランドに出かけた旅のパートナーとともに観に行った。イアンの絵は、赤の使い方が印象的だった。ユーモラスなんだけど憂いがある、シンプルに見えるけど複雑な気持ちにさせる、不思議で魅力的な絵がたくさん展示されていた。短時間しか観られなかったが、楽しい時間を過ごせた。

展覧会の一角には「アルカディア・インターナショナル書店」の模型が置かれ、イアンが選んだ本が販売されていた。「アルカディア・インターナショナル書店」は、多様な言語の古本を扱っているユニークな店だ。5年前にヘルシンキに住んでいた頃に書いたブログを見返していたら、この書店で開催された読書会に参加したことがあったのを思い出した。読書会の題材は、フィンランドの小さな町にあるmanor houseの歴史について書かれた本だった。manor houseは、中世ヨーロッパの荘園(manor)で貴族が建てた邸宅のことで、フィンランドにも歴史的なものが点在している。読書会では著者を囲むように座り、本に書いてあること、ないこと、たくさんの話を聞いた。manor houseの成り立ち、邸宅の美しさとは裏腹に貴族内部では政略結婚や政治的な争いがあったこと、相続され受け継がれる過程で親から子に渡された手紙の内容、美しきmanor houseの暮らしを支えていた何人もの家政婦や庭師の話など。著者を囲んで、参加者みんなで同じ本を一緒にめくりながら、豊かな時間を過ごした。あれから5年以上経って、この書店にこういうかたちで「再会」できるとは思わなかった。出会いや縁というのは不思議なものだ。