ミルク(2008, ガス・ヴァン・サント監督)

1970年代にアメリカで初めて同性愛者であることを公表した上で立候補し、市会議員に選ばれた政治家ハーヴェイ・ミルクのライフ・ストーリーだ。ショーン・ペンが演じたミルクの世界にひき込まれた。ドキュメンタリー作品のようだった。同性愛者として受けてきた社会的差別、肉体的・精神的な暴力の前に屈することなく、文字通り自らの命を捧げて、「マイノリティ」の希望を取り戻すために尽力した人生だった。

こういうテーマの作品がハリウッドでつくられ、世界中の人びとに評価され、アカデミー賞に選ばれること自体、ミルクが生きた時代には考えられなかったことだろう。ミルクのように圧倒的に不利な状況におかれても、立ち上がり、人びとと対話し続ける人が、〈社会〉を変え、新しい〈世界〉をつくっていくんだなとあらためて思う。