フィンランド・デザイン展(2017, 福井市美術館)

今年フィンランドが独立100周年を迎えたことを記念して、名作から最新のものまで、フィンランド・デザインを紹介する展覧会が、全国5箇所で開催される。フィンランドに住んでいた頃に制作した映像を、福岡、愛知の会場に続いて、3番目の福井市美術館でも上映いただくことになった(福岡の会場を訪問した時のことはすでにレビューに書いた)。今回、10月に実施予定のプロジェクトの事前調査のために福井を訪れたので、福井市美術館にも足を運んだ。

福井市美術館は、黒川紀章氏が設計したガラス張りで逆円錐の建物で、かなり印象的だった。とても贅沢なことに、副館長の石堂さんにお話をうかがうことができた。ガラス張りで外への広がりを感じる建物だが、石堂さんによれば、美術館としては小さな建物だということだ。そのため、今回のフィンランド・デザイン展の展示物も、おさまるかどうかが心配だったという。しかし、フィンランド・デザイン展の展示物は、基本的にアート作品ではなく、フィンランドの名作と言われるプロダクトの数々で、生活の中で使われているものなので、サイズとしては巨大なものは少ない。それに、広々とした空間に離れ離れに展示されるよりは、ある程度ぎゅっとコンパクトに展示されていたほうが、一覧性もあるし、生活の中で使われているプロダクトとしての親しみも感じられる。美術館の建物の個性と展示物の特性とを生かし、とても魅力的な展示空間が作り上げられていた。展示物が同じでも、会場が変わり、展示のされ方が変わると、鑑賞者としての体験も変わる。福井会場での展示は9/3まで。その後はいよいよ、東京の府中会場でフィンランド・デザイン展が開催される。