モバイル・ライブズ:「移動」が社会を変える(2016, アンソニー・エリオット&ジョン・アーリ)

私が研究において、最も影響を受けた本のひとつだ。移動(移住)を経験している主体、自己をめぐるモビリティに焦点があてられている。人びとの「モバイル・ライブズ」を具体的に描写することで、その経験を可能にしている(あるいはできなくしたり、逆の経験を生じさせる)条件とは何かを議論している。インタビューをベースにしたエスノグラフィックな調査から得られた語りや事実をフィクション化して、「モバイル・ライブズ」のストーリーが描かれている。ミクロな個人の経験と、マクロなグローバルレベルで展開していることが接続され、私たちの暮らしと世界(社会)のこれからのあり方について「移動」を軸に考えるための土台が与えられる。

原著を読んだのはずいぶん前だが、昨年出た訳書をあらためて読んだ。私はこの本に刺激され博士課程の研究を組み立てたのだが、今年その研究内容の一部を学会で発表したときに訳者の方に声をかけていただいたり、国際会議で本書の著者と仕事をしている人に出会ったりと、嬉しい出来事が続き、研究をがんばろうと思えた。