大統領の料理人(2012, クリスチャン・ヴァンサン監督)

フランスで大統領官邸の料理人といえば、伝統的に男性が務めるものだった。しかし、家庭的な味を求めていたミッテラン元大統領は、その伝統を打ち破り、女性の料理人を採用した。本作はその女性料理人の実話にもとづいて制作された。たったひとりの人のことだけを考えて、料理を作る仕事。シンプルなことのようだが、相手が大統領という要人となると話は別だ。大統領自身の好みや健康状態を細かに把握することはもちろんだが、その日の公務の内容、ゲストの好みや健康状態など、大統領をとりまくあらゆる事項を調べておく必要がある。それをふまえて、その日に手に入る食材でできる最高の料理を考えて、提供する。厳しい条件の数々、失敗が許されないというプレッシャー、周りの男性料理人たちからの妬みを、毎日乗り越えながら、創造的な仕事をするために奮闘する彼女の姿に勇気づけられる。