ブー・ジュンフェン作 ハッピー&フリー(2017, サンシャワー:東南アジアの現代美術展@国立新美術館)

映像作品は、実際に起きたことを描くことができるだけでなく、過去に起こりえたかもしれないことや、未来に起こりえるかもしれないことを描くことができる。本作は検閲や歴史の隠蔽など、権力による理不尽さ、社会の矛盾をテーマにした作品を多数発表しているシンガポール生まれのアーティストによるビデオ・インスタレーションだ。カラオケルームかのように作り込まれた上映室内のスクリーンには、「マレーシア成立50周年」を祝う陽気な演奏が映し出されている。この映像は、もしもシンガポールがマレーシアから分離独立しなかったら、と仮定して、起こりえたかもしれない祝祭の情景を描いているのだ。徹底的に作り込まれた世界観の中にいると、それが「本当の歴史」のように思えてしまう。