防災の決め手「災害エスノグラフィー」 ~阪神・淡路大震災 秘められた証言(2009, 林春男ら)

本書は、神阪・淡路大震災の後に、神戸市職員らに対して、30年間インタビューデータそのものは非公開にすることを条件に行われた調査プロジェクトをベースにして書かれている。本書でいう災害エスノグラフィー調査は、

災害現場に居合わせた人たちの言葉を聞き、思いもよらぬ災害に直面したとき、災害体験者は初めて出くわした何に悩み、苦労し、どのようにそうした問題を解決していったのか、という一連の問題解決プロセスを明らかにすることを目的としている。先に述べた形式知に対し「暗黙知」とよばれるもので、言語化しえない・言語化しがたい知識、主観的・個人的、情緒的・情念的、アナログ知などの言葉で表現される。

災害エスノグラフィーによって明らかになった個人の「暗黙知」がつまったストーリーから学ぶことがたくさんあるが、そこから何を学べるかを集合的に考えるワークショップの設計・実施に関する議論もとても意義深いと感じた。