現代思想 2017年11月号 特集=エスノグラフィ ―質的調査の現在(2017, 岸政彦・國分功一郎ら)

まだ掲載されているすべての論考を読み終えていないが、岸政彦+國分功一郎の特集記事を読んだだけでも、購入してよかったと思った。他者について調べて書くというエスノグラファーの営みについて、その方法論と政治に対する歴史的な反省をふまえたとき、どのような態度・アプローチが適切なのか。この問題について、人類学や社会学の視点だけでなく、哲学の視点からも議論されていた。対象者を一方的に書くのでも、対象者の側にだけ立つのでもない。能動的とも受動的とも異なる「中動態」的な態度・アプローチの可能性が理解できた。また、他者とのコミュニケーションについて考えるための概念として提案されていた、「歓待 hospitality」にとても惹かれた。相手を我慢することの意味を含む「寛容 tolerance」とは違って、「歓待 hospitality」は相手を受け入れて変わっていくことを意味するという。この概念を頼りに、自分の研究のプロセスを振り返ってみたいと思った。