YARN 人生を彩る糸(2016, ウナ・ローレンツェン監督)

本作は、アイスランド発の「編み物」にまつわるドキュメンタリー作品だ。公開に合わせて、渋谷の映画館イメージ・フォーラムの一部が、色とりどりの糸で編まれていて、観る前から楽しい気持ちになった。タイトルの「YARN」は、織物や編み物に使う「糸」という意味と、「面白い冒険談を話して楽しませる」という意味がある。まさに本作はその言葉の意味を体現している。生活に根ざした編み物の力を使ったアートで、世界各国で活躍する4組のアーティストが登場する。糸を紡ぎ、編むことで、自らの経験、思い、信念を表現し、人とつながり、人をつなげていく彼/彼女の実践の物語に魅了された。特に印象に残っているのは、堀内紀子さんの言葉だ。テキスタイルの彫刻を作って活躍してきたが、心の空洞を感じるようになってしまったという。しかしあるとき、自分が編んだ作品に子どもたちが飛び乗り、作品が揺れ動く様子を見て、「人のために作品を作る」ことが自分に足りなかったのだと気づき、それ以来、子どもたちが自ら工夫して遊べる作品を編むようになったという。自分の使命を見つけた人の言葉の魅力を感じた。この映画、もう一度観たい。