「共感」へのアプローチ: 文化人類学の第一歩(2016, 渥美一弥)

文化人類学的に〈世界〉を見るとはどういうことなのか。本書は、文化人類学の研究の歴史と身近な事例とを織り交ぜながら教えてくれる。異文化と出会った時に否定的な感情が起きても、それは仕方がないことで、大切なのは、なぜそういう感情が起きたのかを問うこと。異文化と自文化を等しい距離から見つめることで、双方の理解を試みる「文化相対主義」のアプローチを学ぶのに、本書はとても良い入門書になると思う。

「文化」と”culture”という言葉の意味の違いについての話は、昔どこかで聞いたような気もするが、本書で読んであらためておもしろかった。古代中国では、「武力、刑罰を用いて人びとを治める」意味を持つ「武化」と反対に、「言葉の持つ力で人びとをまとめる」意味で「文化」という言葉が使われていたという。それに対して、西洋では、「大地に人間が手を加えない状態」の”nature”と反対に、「natureが人間が生活するのに容易な状態に変えていく」意味で”culture”という言葉が使われるようになったそうだ。自分が使っている言葉の歴史を理解することの大切さを再認識した。