真鶴町立中川一政美術館

真鶴駅からバスで15分ほどの原生林の中に、中川一政美術館はある。美術館の近くに、気に入っている民宿がある。数年ぶりに民宿に泊まるついでに、初めてこの美術館を訪れた。中川一政は、いわゆる「学校」で美術を学んだことはなく、独学で、生涯にわたり、さまざまな表現方法で作品を制作し続けた人だ。晩年にパリで展覧会をやることになったときに、生涯の作品を一覧してその歴史がわかるような展示をしたいという企画者の意向に対して、過去ではなく直近に制作した作品を展示したいと、中川一政は主張したという。展示を観て、90代で亡くなる直前まで、新しい表現にチャレンジし続けた軌跡がわかり、その創作意欲に圧倒された。絵が美しいかどうかが重要なのではなく、そこに現れている思いや魂の方が重要なのだという趣旨のメッセージにも、心を動かされた。木々に囲まれた静かな美術館で、豊かな時間を過ごすことができた。また来たい。