マエストロ!(2015, 小林聖太郎監督)

ずいぶん前に観たこの映画のことをふと思い出した。不況で存続できなくなって一旦解散したオーケストラを、西田敏行が演じる風変わりな指揮者と松坂桃李が演じるコンサートマスターがぶつかり合いながら再生させていくという話だ。オーケストラの世界は全く知らなかったが、この映画を通して、指揮者の役割に興味を持った。それぞれの楽器の奏者が、楽譜を「正確に」演奏すれば、音楽として完成するということではない。音楽をなぜやるのか、どのような思いで演奏するのか。メンバーひとりひとりの技術だけでなく、態度や姿勢みたいなものを重視するアプローチで、聴いた人の魂を揺さぶるような音楽を作り上げていく。オーケストラに興味がなくても、師弟関係、リーダーシップ、ヴォケーションといったことに関心を持っている人は観てみるとおもしろいのではないかと思う。