グレイ・ガーデンズ(2009, Michael Sucsy監督)

ジョン・F・ケネディの夫人のジャクリーンの叔母ビッグ・イディ・ビールとその娘リトル・イディのライフ・ストーリー。富豪の夫の財力に支えられて奔放に生きていたビッグ・イディは、人生の後半、夫に見捨てられてリトル・イディとふたりで荒廃した生活を送る。歌うことが生きがいのビッグ・イディと、女優・ダンサーになる夢を抱きつつ叶えられないリトル・イディは、ふたりとも社会に「適応」することなく、郊外の屋敷にこもってふたりだけの世界で生きる。ふたりの「常識」は、社会のそれとはかけ離れている(かけ離れていく)。まともに「家事」ができないふたりが暮らす屋敷は、やがてゴミに埋め尽くされ、不衛生で危険な状態になっていく。それでもそのまま暮らし続けている彼女たちのもとに、ドキュメンタリー映画作家兄弟が訪れる。彼らの登場によって、彼女たちに変化が生まれる。本作は、この実話をもとに描かれている。ドキュメンタリー映画を撮られる彼女たちが描かれているという、構造自体もおもしろい映画だ。「なりたい自分」を強烈に追い求めることで人生をこじらせ、生きづらさを感じながらどこにも行けず母娘で引きこもる彼女たちのライフ・ストーリー自体にも釘付けなのだが、ドキュメンタリー映画作家による人生への「介入」についても考えさせられる。ドキュメンタリー作品の方も観てみたい。