さまざまな空間(2003, ジョルジュ・ペレック)

楽しくて、おもしろくて、興奮して、休みなく一気に読んでしまった。この本に出会えてよかったと心から思う。私たちが「空間」と読んでいるものを、いかに多様にとらえ、描きうるかをペレックは実践して見せてくれる。彼の生い立ち、ユダヤ系移民で戦争孤児であることは、彼の空間についての認識に大きな影響を与えている。ひとつの出来事を99通りの異なる方法で記述することによって、ものごとを表現するときに唯一絶対的な方法はないことを示した『文体練習』の著者クノーと同時代に生き、ともに活動していたという。ペレックの文章もまた、社会構成主義的であることの背景がわかり納得した。ペレックは作家だが、「日常」という自明であるようで実は不可解な対象をどのように眺めるかという社会学的仕事を成し遂げている。本書はエッセイ集のようにも読めるし、社会学の実践の書としても読めると思う。