美術手帖2018年6月号

RAとして長らくお世話になっている研究プロジェクトの長であるラリッサがワークショップを開催するということで、京都に向かった。その新幹線に乗っている間にこの本を読んだ。アートの世界に人類学的なフィールドワークを中心とした調査の方法が導入される一方、人類学者が成果としてアーティスティックな作品をつくるようになっている。そうした最新の動向、実践の数々が紹介されている。

人類学の役割は他者の世界を説明することではなく、私たちの世界を多元化することだ。(エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ)

冒頭の編集ノートで紹介されたこの言葉は、今後も心に刻んでおきたい。

個人的には以前から注目していたハーバード大学感覚民族誌ラボの映像作家のインタビュー記事を楽しみにしていたのだが、インタビュアー(とその先にいる読者)への態度があまりにも挑発的な感じがして少し残念だった。相手や世間に媚びない、取り込まれまいとする態度は大切なのかもしれないが。でも議論されていた内容は興味深かった。夜に参加した会食で大御所のメディアアートの先生らとお話したときに、ちょうどその議論に関連する話題が出たので、その意味でも良いタイミングでこの本を読めて良かった。