ゲーム学習の新たな展開(藤本,2015)

NHK放送文化研究所が発行している『放送メディア研究』。第12号の特集テーマは「多様化する子どもの学習環境と教育メディア」。

その中で、シリアスゲームの研究をされている藤本 徹 氏が「ゲーム学習の新たな展開」と題した論文を発表している。ゲームの教育的利用には、以下のような流れがあった。

  • 1990年代まで
    シミュレーション&ゲーミング:模倣性・システム的側面を重視
    エンターテインメントエデュケーション:楽しさの要素を重視
  • 1990年代から
    エデュテイメント:学びと楽しさの融合をめざす教育用ソフトウェアなど(主にエンターテインメントエデュケーションからの発展)
  • 2000年代から
    シリアスゲーム:広く社会全般の問題解決のためのゲーム開発・利用
  • 2010年代から
    ゲーミフィケーション:ゲームの枠組みにとらわれずゲームの要素を社会活動やサービスアプリケーションの開発に取り入れていく動き

ゲームを学習に取り入れることは、意欲面(意欲がわきやすい)、効果面(効果が出やすい、実感しやすい)、効率面(目標を到達するまでの効率がよい)、環境面(安全に失敗できる)といった面からメリットがあり、構成主義的な学習理論との親和性も高いと言われる。一方で、以下のような障壁も挙げられている。

  • 利用者側の障壁
    標準カリキュラムへの対応が困難、ゲームへの悪い印象、物理的・時間的制約、教員への支援不足、評価の難しさ、実証データや導入事例の不足、ゲームの知識不足、文化的な問題
  • 開発者側の障壁
    開発コストの高さ、教育専門家と連携した開発経験の不足、教育現場での実装テストが困難、資金調達の難しさ
  • 市場環境の障壁
    ユーザーニーズの変化の速さ、技術的な変化の速さ
  • 研究者側の障壁
    履歴データ利用の制限、教育改革を伴う変化の困難さ、参照できる研究成果の不足、目標設定の低さ

こうした障壁がある中で、最近では、ゲーム学習の評価枠組み・システム整備の進展、ゲーム開発者とのコミュニティ形成、学びの場のゲーミフィケーションが進んでおり、今後の展開が期待される。

藤本 徹(2015)ゲーム学習の新たな展開,放送メディア研究,No.12,pp.233-252.

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