NHK放送文化研究所が発行している『放送メディア研究』。第12号の特集テーマは「多様化する子どもの学習環境と教育メディア」。
その中で、シリアスゲームの研究をされている藤本 徹 氏が「ゲーム学習の新たな展開」と題した論文を発表している。ゲームの教育的利用には、以下のような流れがあった。
- 1990年代まで
シミュレーション&ゲーミング:模倣性・システム的側面を重視
エンターテインメントエデュケーション:楽しさの要素を重視 - 1990年代から
エデュテイメント:学びと楽しさの融合をめざす教育用ソフトウェアなど(主にエンターテインメントエデュケーションからの発展) - 2000年代から
シリアスゲーム:広く社会全般の問題解決のためのゲーム開発・利用 - 2010年代から
ゲーミフィケーション:ゲームの枠組みにとらわれずゲームの要素を社会活動やサービスアプリケーションの開発に取り入れていく動き
ゲームを学習に取り入れることは、意欲面(意欲がわきやすい)、効果面(効果が出やすい、実感しやすい)、効率面(目標を到達するまでの効率がよい)、環境面(安全に失敗できる)といった面からメリットがあり、構成主義的な学習理論との親和性も高いと言われる。一方で、以下のような障壁も挙げられている。
- 利用者側の障壁
標準カリキュラムへの対応が困難、ゲームへの悪い印象、物理的・時間的制約、教員への支援不足、評価の難しさ、実証データや導入事例の不足、ゲームの知識不足、文化的な問題 - 開発者側の障壁
開発コストの高さ、教育専門家と連携した開発経験の不足、教育現場での実装テストが困難、資金調達の難しさ - 市場環境の障壁
ユーザーニーズの変化の速さ、技術的な変化の速さ - 研究者側の障壁
履歴データ利用の制限、教育改革を伴う変化の困難さ、参照できる研究成果の不足、目標設定の低さ
こうした障壁がある中で、最近では、ゲーム学習の評価枠組み・システム整備の進展、ゲーム開発者とのコミュニティ形成、学びの場のゲーミフィケーションが進んでおり、今後の展開が期待される。