情報・交通・日常品の流通など、あらゆるものが高度なネットワークを介して成り立つ2028年。人類は月面に採鉱基地を作り上げ、スペースコロニー開発のための資材採掘を進めていた。ひとつの事故をきっかけに、ネットワークは人類への脅威として認識され、完全に機能停止させられた。しかし高度に発達したネットワークはそれを逃れ、自ら「生存」する方法を見つけ出し、人類への「報復」として都市機能を次々と麻痺させていった。人類が取りうる道は3つ。ネットワークをさらに進化させるか、現状維持とするか、退化させるか。難しい判断が迫られる中、スペースコロニーを舞台としたひとつの実験が提案される。しかしこれは、とてつもない代償を生み出しかねない大きな賭けであった。
実験の舞台となるスペースコロニーでは、AIの手足として大小さまざまなドローンが働く。今でこそ「ドローン」という言葉が一般に認識されるようになったが、原作が発表された1979年にこうしたアイデアが発表されていたことには驚かされる。現在のAI研究では、ハードウェアはソフトウェアと比較して遅れている感があるが、AIが優れた体を獲得したとき、どうなるのか。そして私たちはそれを許すのか。
スピード感ある展開と迫力ある絵で、570ページもあったことに気づかず一気に読みきってしまった。