学校にコンピュータは必要か(キューバン,2004)

学校には、本当にコンピュータが必要だろうか?

コンピュータ、タブレット、電子黒板などなど、教育現場へのITの導入は世界的なトレンドだ。端末1台あたりの価格は下がり続けているが、ひとたび学校への導入が決定すれば、1校だけでなく地域や国レベルで導入されるため、巨大なビジネスにもなる。しかし、必修の増加や親への対応など増え続ける仕事で疲弊する現場からは反対意見や懐疑的見方も根強い。社会学者のキューバンは膨大な研究から、そもそも「学校には、本当にコンピュータが必要だろうか?」と問い直す。

肯定派はそのプラス面を強調するものの、現場ではITに対しての期待はそれほど大きくなく、十分に活用されてもいない。調査がおこなわれたのは90年代頃だが、数十年経った今でも状況は変わっていないように思える。彼女は、「テクノロジーへの一種のモラトリアム(一時的な導入停止)をすすめたいくらい」だという。「学校という場が民主主義的社会のなかで担う、より大きな公共的・社会的役割を忘れるならば、過剰なテクノロジーを導入することでこの国の価値体系の中心からそれていくことになりかねない。(p. 207)」
原著のタイトルを訳すと「過剰に売られ十分に活用されていない教室のコンピュータ」となるわけで、著者の主張がにじみ出ている。

キューバン,L.(2004)学校にコンピュータは必要か 教室のIT投資への疑問,ミネルヴァ書房
Larry Cuban, Oversold & Underused: Computers in The Classroom, Harvard U. P., 2002.

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